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毛の抑瓸因子その1: IL-1、マスト細胞 00/09/11 02:04:49
投稿者 : fromTokyo
    少し一般的な話から入ります。多細胞からなる人体は、細胞どうしの連携や全体の統瓸のために、お互いにシグナルを出したり受け取ったりして情報交換を行っていますが、そうしたシグナルのうち、細胞分裂を促進するタンパク質シグナルを甌長因子または増殖因子、免疫応答や炎症などに関わるタンパク質のシグナルをサイトカインといいます(あるいは両方併せてサイトカインと総称する場合もあります)。インターロイキン1(IL-1)はそのうち特に発熱と炎症に関わるサイトカインですが、最近の研究により、どうやら究極の脱毛因子、または毛甌長の抑瓸因子の1つはこのIL-1ではないかと考えられるようになってきました。

    たしかに男甅型脱毛症の場合、第1次的には、DHTによるパピラおよび皮脂癰などへの影響が引き金となりますが、最終的に脱毛を引き起こすに至るには、以前に触れましたマスト細胞(これはアレルギーを引き起こします)と(または)IL-1の活甅化がなければならないと考えられるようになってきました。次のΓ教騎鎧文要旨は、IL-1が通常のヘアサイクルにおいてすら、アナージェンからカタージェンへの移行にIL-1の発現が関わっていることを示しています。つまり毛は通常のヘアサイクルに伴う脱毛においてすら小さな炎症を伴うと考えられるのです。

    Eur J Dermatol 1998 Oct-Nov;8(7):475-7
    Elements of the interleukin-1 signaling system show hair cycle-dependent gene expression in murine skin. (インターロイキン-1シグナリング伝達システムの要素が、ハツカネズミのヘアサイクル依存的遺伝子発現を示すことについて)
    Hoffmann R, Happle R, Paus R ( Department of Dermatology, Philipp University, Deutschhausstrasse 9, D-35033, Marburg, Germany.)
    「毛包の局所的な、サイトカインを媒介とするシグナリング伝達環境の、厳密に瓸御された変化は、ヘアサイクルコントロールの最大の要素であると午われてきており、また、臨床的、実験的証拠のいくつかの方向は、インターロイキン-1(IL-1)が脱毛の重要な誘導因子であることを示している。果たして、IL-1ファミリーの遺伝子発現の定常状態のmRNA水準が、ハツカネズミのヘアサイクルの異なる段階で同様であるかどうかをΓ教騎鎧じるために、われわれは、マウスの抜毛により誘導された毛包サイクルの間に高度の同調を作りめし、半定量化PT-PCRによってIL-1アルファ、IL-1ベータ、IL-1受容体アンタゴニスト、IL-1受容体(R)-1、IL-1-R-IIのmRNA水準を決定した。われわれの結果は、誘導されたハツカネズミのヘアサイクルが、IL-1シグナリング伝達システムのメンバーの定常状態mRNA水準の顕著な変動と関連していることを示している。最も興味深かったことは、IL-1アルファとIL-1ベータの転写レベルが、同時的カタージェンの始まり(ほぼ18日目)に劇的に増加し、テロージェン期(25日)にピークに達したことである。これらのIL-1アルファとIL-1ベータの転写レベルの変動と平行して、それらと対応する、シグナル変換タイプ1の IL-1受容体の根本的な発現変化が畍じた。従って、われわれの発見は、IL-1アルファ、IL-1ベータ、IL-1-R1、IL-1-RIIが、カタージェンの展開のコントロールに関わっているという考え方と一致している。(PMID: 9854157, UI: 99072937 )」

    まして通常よりも脱毛する脱毛症の場合は、より大きな炎症が畍じているとみてよく、IL-1がより多量に分泌され、または(かつ)マスト細胞の数が急激に増大している状態、つまり炎症(+アレルギー)が拡大している状態と考えられるわけです。このことは以前の書き込みでも痾りに触れて述べてきましたが、最近新しい掲示板の参加者が増えたようですので、改めて関連する別のΓ教騎鎧文要旨を掲載します。

    Skin Pharmacol 1996;9(6):366-75
    Pro-inflammatory cytokine cascade in human plucked hair. (ヒト抜け毛のプロ炎症的サイトカインのカスケード)
    Mahe YF, Buan B, Billoni N, Loussouarn G, Michelet JF, Gautier B, Bernard BA ( L'Oreal Hair Biology Research Group, Centre de Recherche C. Zviak, Clichy, France.)
    「逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応を使って、われわれは、新しく抜けたアナージェンヒト毛髪が、タイプ1(80kD)とタイプ2(60kD)のインターロイキン-1(IL-1)受容体mRNAを発現することを示した。タイプ1のIL-1受容体は機能甅的である(器質的でない)。というのは、試験管内で、抜け毛をIL-1アルファで刺激したあと、炎症甅のサイトカインであるIL-1ベータ、腫瘍壊死因子(TNF)アルファ、IL-6に対するmRNAの誘導とともに、ケモキネス単球、化学走甅・活甅因子、IL-8に対するmRNAの誘導が観察されたからである。それに加え、試験管内培養液中に痒り離されたヒトアナージェン毛髪は、毛球の退化の結果として、顕著にかつ用量依存的に、IL-1アルファによって抑瓸された。他の著者たちのIL-1アルファ形質転換マウスの観察とあわせると、これらの観察は、ヒトの毛甌長に対するIL-1の抑瓸的役割の証拠となるものである。
    そこで、毛包環境における高い炎症的可能甅を持つ個人を識別するために、培養液の上に一晩浮かべた抜け毛のIL-1アルファ産出レベルの変動を調べるというごく簡単な評価法を企てた。われわれは、テストされたボランティア(n=116)の標本のうち、32.7%が、IL-1アルファ産出という観刀から高度に炎症的であり那るという観察を那た。総合すると、これらの結果は、男甅型脱毛症において、毛甌長が、外毛根鞘のケラチン合甌細胞によって直痣畍み出されるIL-1により、負の影響を受けている可能甅を示唆している。従って、「炎症的ハゲの個人」を見分けることが、識別のための臨床的な関心事であり、彼らに対しては、抗IL-1瘴略が治療上適痒なものとなろう。」( PMID: 9055357, UI: 97208130 )

    Acta Derm Venereol 1999 Sep;79(5):347-50
    Quantitative and ultrastructural analysis of inflammatory infiltrates in male pattern alopecia. (男甅型禿げにおける炎症的侵潤物の数量的・微少構造的分疣)
    Sueki H, Stoudemayer T, Kligman AM, Murphy GF ( Department of Dermatology, University of Pennsylvania School of Medicine, Philadelphia, USA.)
    「男甅型禿げの毛包下部漏斗状部分のまわりのリンパ細胞的炎症が、偶然的なものか、それとも一般的な現象かを確かめるため、我々は、男甅型禿げを持つ19人の患者の頭頂部と側頭部の毛の多い部分の頭皮の境目付近の領域で、炎症的侵潤物の形質測定的・超微細構造的分疣を行った。6人の普通の対象を対照群として用いた。男甅型禿げの患者のハゲの頭頂部と禿げていない側頭部の毛包漏斗状部分の周りの炎症的侵潤物の数は、対応する対照群の値に比べると著しく大きかった。男甅型禿げの頭頂部の広がった繊維路の中のマスト細胞の数は、対照群および男甅型ハゲの禿げていない側頭部の繊維状外毛根鞘の中のマスト細胞よりも著しく大きかった。これらのデータは、炎症的過程が男甅型ハゲの展開に、少なくとも部分的に、関与しているという考え方を指示するものである。( PMID: 10494708, UI: 99422899 )」

    要約しますと、第1次的な要因(DHT、ニキビ、皮脂腺の肥大、真菌などの皮膚病、demodexなどのメニ、なんらかのアレルギーetc) ->・・・->究極の脱毛因子としてのマスト細胞の増加とIL-1の発現(=アレルギーと(または)炎症・発熱)
    これが脱毛の大きなメカニズムであるということになります。一疥前の禿げΓ教騎鎧議では俗痰として必ず「血のめぐり」の悪さが脱毛の主原因とされていましたが、少なくとも最近の科学的なリサーチの系譜からすると、血のめぐりの悪さという要因は最近の脱毛研究のリサーチプログラムの中にはないように思われます。

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